2021年08月24日
要注意!「利他の行為」に潜む影
「人の役に立ちたい」「困っている人達を助けたい」「世界に貢献したい」この様な思いは一見ポジティブのように見えますが、
その裏には「自分はダメな人間だ」「自分は誰からも愛されて」「自分は世の中から必要とされていない」という
ネガティブなセルフイメージが隠されていることが少なからずあります。
そこには、そんなネガティブな自分ではこの社会で生き残っていくことが出来ないという不安や恐れがあります。だからこそ、
人の役に立ち、困っている人たちを助け、世の中に貢献することで、何とか自分を受け入れてもらおうとするのです。
まさに、自分に対するセルフイメージが低すぎるがゆえに、生き残り戦略として、こうした仮想のポジティブな志や目標、使命を持つに至ったわけです。
私はこれを「利他の行為に潜む影」と呼んでいます。もちろん「利他の行為に潜む影」が絡んだ「利他の祈りは」効果がでません。
そしてそれよりも怖いのは「○○したい」とポジティブに思えば思うほど、そこに潜むネガティブなイメージが強化されてしまうことです。
言い換える「利他の行為に潜む影」が絡んだ「利他の祈り」をすればするほど「だめな自分」「愛されていない自分」「必要とされていない自分」といったネガティブなセルフイメージが逆にどんどん強化されてしまうということになります。
だから「利他の祈り」を行うときは本心からでなければなりません。本心か相手の幸せを願う必要があるのです。
ではどうしたらこの一見ポジティブな「○○したい」に潜むネガティブなセルフイメージに気付くことができるのでしょうか?
それには自分が「○○したい」と思った時、「それは自分にとって心底楽しいことなのか?それともマイナスな状況を避けたいがためなのか?」という問いを必ず入れることです。
こうした問いの結果、何かを避けるために「○○したい」のだと気づいたらそれはしないほうがいいのです。
さらにその奥にあるネガティブなセルフイメージを探っていきます。
「なぜ人の役に立ちたいのだろうか?」
「人に喜んでもらいたいから」
「なぜ人に喜んでもらいたいのだろうか」
「自分が認められた気がして、うれしいからだ」
「なぜ人に認められたいのだろうか?」
「それは自分で自分のことを認めてないから?つまり、『今の自分ではだめだ』『今のままでは不十分だ』と私は思っていたのでは・・・・」
こんな具合に、「なぜ・どうして」を使って自分の内面をどんどん掘り下げていくことで、ある瞬間に、その奥にあるネガティブなセルフイメージに気付きます
2021年08月19日
痛みの第一現場で起きていること
痛みやしびれは、実際に痛みが出たりしびれたりしている第一現場と第二現場(脳)との情報のやり取りです。今までは第二現場のことを記してきましたが、ここでは第一現場では何が起きているのか記していきたいと思います。
慢性的な痛みで苦しんでいる時、第二現場では「闘うか逃げるか反応」が起きています。
ストレスの源である嫌な出来事、嫌いな人物に対して闘うのかそれと逃げるかの反応です。
「闘うか逃げるか反応」は緊急事態に備え、より速く、より強く動けるよう筋肉を緊張させます。
この時、体の中で最も緊張が入る部分が図1のA、Bの部分です
Aの部分の筋肉が緊張し硬くなると首が短くなり肩があがります。闘うにしても逃げるにしても首をのばし、肩をだらんと下げている人はいません。Bの部分は嫌な出来事に対して克服(闘う)するのか回避(逃げる)するのかで変わってきます。克服の場合は骨盤を前に倒し脚が前に出やすくするために、回避の場合は逃げやすくなるように腰が引けた状態をつくるために筋肉が緊張します。
この筋肉の緊張が痛みの原因となります。
それではAとBの部分では何が起きているのかをみていきます。
上記のように緊急事態に備えるために緊張した筋肉が血管を圧迫して患部の血液循環を悪くし、軽い酸素欠乏を起こします。
痛みの専門院のホームページより
https://www.itamino.com/faq2.html
この血管が圧迫されることで患部では次の3つが起きていると考えられます。
第1に科学的老廃物の蓄積です
この老廃物は主に乳酸という疲労物質ですが、通常は血液循環によって洗い流されるため、蓄積されることはありません。ところが血管収縮にともなって血流量が減少すると、筋肉内に発痛物質でもある乳酸が蓄積し、筋肉痛を引き起こしてしまうのです。
痛みの専門院のホームページより
https://www.itamino.com/faq2.html
第2に筋肉痙攣(けいれん)です
血流量の減少によって酸素欠乏が深刻になると、
筋肉が痙攣しはじめます。
この痙攣は、ふくらはぎの筋肉痙攣(こむらがえり)と同じものですが、自律神経を介して血管が収縮しているために、短時間で治まるということはありません。
たいていはおさまるまでに数日かかりますが、ここでおかしな呪いをかけられると、数週間から数ヶ月に及ぶことがあります。
第3に神経障害です。
神経は筋肉よりデリケートにできていて、ほんのわずかな酸素欠乏でも症状を出して危険を知らせます。
筋肉はかなりの酸素欠乏にも耐えられますが、神経は酸素欠乏にとても弱いのです。
神経を養っている血流量の減少は、上腕神経叢(腕の神経)や坐骨神経のような末梢神経の酸素欠乏を引き起こします。
一般的な酸素濃度の低下による症状は痛みですが、さらに酸素濃度が低下した場合、さまざまな程度の知覚異常や筋力低下をきたすことがあります
以上のように筋肉の緊張が血流量の低下をおこし、それが原因で筋肉や神経が酸欠を起こす。これが痛みの原因なのです。
厄介な事に、痛みの原因である緊張した筋肉は画像検査ではわかりません。わからないから異常なしとか原因不明になるのです。しかし熟練した手技療法のセラピストには原因は確かに存在するのです。緊張した筋肉があるかないかは患部をタッチすればわかります。そして緊張した筋肉をほぐせば高い確率で痛みを改善できる可能性があるのです。
しかし痛み根本原因は第二現場(脳=心)にあります。第二現場に手を入れていかない限り一時的に良くなっても必ず再発してしまいます。
2021年08月07日
「利他の祈り」が脳や実生活に与える影響
前の記事に書いた通り、脳の使い方を間違えたために興奮を続ける脳を、鎮静化さる特効薬が利他の祈りなのです。それでは利他の祈りにはどのような効果があるのでしょうか?
まず、利他の祈りが脳に与える影響について記した後、その脳に起きた変化が実生活にどう影響するのかを記していきます。
「利他の祈り」が脳に与える影響
利他的な祈りは「ベーターエンドルフィン」や「ドーパミン」「オキシトシン」など脳内快感物質と呼ばれる一連の物質を分泌させることが最新の脳科学の知見により明らかになっています。脳内快感物質とは、脳内で機能する神経伝達物質のうち多幸感や快感をもたらす物質を一般的に総称した用語です。
それでは、これらの脳内快感物質にどのような効果があるのかを脳内快感物質別にみていきます。
1.ベーターエンドルフィン
〇 鎮痛効果や気分の高揚・幸福感などが得られるため、脳内麻薬とも呼ばれています。モルヒネと同じような作用をし、腰痛の改善にも役立ちます。
〇ベーターエンドルフィンは脳を活性化させる働きがあります。集中力が増し記憶力も高まります
〇ベーターエンドルフィンは免疫細胞を活性化させ免疫力を増強します。
2.ドーパミン
理由もなく何となくやる気がでないという日はありませんか。
やる気は、脳の側坐核から分泌される「ドーパミン」によってもたらされていることが実証されています。
ドーパミンのやる気を引き出す以外の効果は次の通りです。
○幸せな気持ちにさせて意欲に繋がる
人が楽しい、嬉しいと感じるのはドーパミンがうまく分泌されていることが影響しているといわれています。
○集中力がアップして効率が良くなる
ドーパミンを増やすと集中力がアップして効率がよくなるといわれています。
〇ポジティブになる
ドーパミンを増やすとポジティブで意欲的になるといわれています。
脳内でドーパミンを増やすことでポジティブな考え方ができるようになります。
3,オキシトシン
オキシトシンは愛おしさ(いとおしさ)の感情を生み出す元になっている物質でもあることから「愛情ホルモン」という別名を持っています。たとえば夫婦や恋人同士のスキンシップや母親が赤ちゃんに母乳を与えているときなどにこのオキシトシンが大量に分泌されているのがわかっています。オキシトシンの効果は以下の通りです
〇幸せな気分になる
〇脳・心が癒され、ストレスが緩和する
〇不安や恐怖心が減少する
〇他者への信頼の気持ちが増す
〇社交的となり人と関わりたいという好奇心が強まる
〇親密な人間関係を結ぼうという気持ちが高まる
〇学習意欲と記憶力向上
〇心臓の機能を上げる
〇感染症予防につながる
「利他の祈り」がもたらす実生活での変化
さて、この様な効果を持つ脳内快楽物質が大量に分泌されると実生活でどの様な変化が生まれるのでしょうか?
「意識の力」の研究家リン・マクタガート氏が祈る側に起きる奇跡的な出来事について、著書「パワー・オブ・エイト最新科学でわかった意識が起こす奇跡」で詳しく述べています。
以下は第16章「他人を癒すと、自分も癒される」249ページ~251ページの抜粋です。
―――――――――――――――――抜粋ここから
さらに説得力のあることが実験の数週間後、参加者に起こった
今回の実験では5分の1の参加者に身体的改善が見られたと報告してきた。
「手根管の怪我がよくなり、とてもリラックスしているように感じます。よく眠れるようにもなりました。」
「3年ほどひざの痛みに苦しんできました。実際に参加した後、それまでの痛みがすっかりなくなりました。」
「それまでは背中とひざに慢性的な痛みがあったのですが、かなりよくなりました」
「まるで鎮痛剤を飲んだかのうように腰の痛みが楽になりました」
「この10日間、20年間悩んできた便秘が解消されました」
「自分の身体が『再調整』されたように思えます」
「結腸に問題があったのですが、もうよくなりました」
「肌の状態が改善してきています」
「座骨神経痛が消えてしまいました」
「よく眠れ、心配症やパニック障害がなくなりました」
「関節リュウマチをここ数年患っていたのですが、少しですが正常に戻りつつある兆候が見みられます」
「自分の身体がPTSDに対処できるようになったと感じています」
こうした効果は、その翌週にはさらに驚くほど続いて増えた。
連絡してきた人の半数近くが、人間関係が癒され、クライアントや元夫、兄弟、近所の人や両親との関係が改善した。今回は人間関係が平穏になっただけでなく、昔から抱えていた傷が癒されたというのが強調されていた。
サンドラは今まで1年に数えるほどしか電話で話をしなかった母親との関係が改善し、
「これまでにないほど、会話が出来るようになりました」といった。
二人の参加者は姉との関係が修復され、過去の傷を互いに許して新たな目で見られるようになったという。
「姉とこれまでになく仲良くなれました。まるで姉の気持ちが和らいだか、心が解放されたかのように思えます。」と述べている。
また、職場の同僚との関係が癒されたという人もいる。
マリーは夫の関係が癒しを迎えたと述べている。
「夫はまるで昨日出会ったばかりのような目で私を見るのですが、とても気分いいです。私の健康、人間関係、外見、エネルギーレベル、幸福感、心を開いた感じ、人生のすべてが改善されました。」とソフィーは書いていた。「私は明らかに変化したのです」とも加えられていた。
――――中略―――
平和の意識を送れば、送った人が平穏になる。誰かを癒す意識を送ったら、多くの人が自分自身の人生に癒しを受け取ることになるのだ。
――――――抜粋ここまでーーーーー
このように心からの利他の祈りが常識では計り知れない効果をもたらすことがわかりました。
上記の実験の概要を以下に記します
実施日2013年4月26日
ターゲット(祈られる人):湾岸戦争とアフガニスタン戦争の心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しんでいた退役軍人
症状:強いうつと軽度の不眠症 部屋に入るとすぐに壁に背を押し付けて座り、脅威がないか調べずにいられない。
参加人数:インターネットに接続された7000名
祈りの内容:ターゲットに脳波をリアルタイムにネット上に表示できる装置をとりつけアルファ波(平静で平穏な気持ちの時の脳波)が増加するよう働きかける
実験後のターゲットの変化:かなり改善が見られ、少し遠方まで旅行が出来るようになった。もはやPTSDの治療は必要ないと感じ、翌年には結婚をして子供が出来た。
2021年08月05日
慢性痛の特効薬「利他」
慢性腰痛に苦しむ多くの方は「長期間続く痛みに対する恐怖心」、「誤ったセルフイメージ」などが原因で、苦痛系思考が常態化している可能性があります。
苦痛系思考とは様々な決断や判断を「不安、恐れ、嫌悪、怒りといったネガティブな感情を生じさせる事態に遭遇するのを避ける」という基準で脳を動かすパターンです。
痛みに対する恐怖に加えて
●自分には価値がないから○○しなければならない
●自分は何をやっても愛されないから○○しなければならない
●どうせ自分はひとりぼっちだから○○すべき
●自分には決定的な欠陥があるから○○しなければならない
などなど「○○しなければならない」「○○すべき」という思考にとらわれているのであれば苦痛系思考にハマっていると言えます。
苦痛系思考が働いているときに分泌されるのがアドレナリン、ノルアドレナリン、などの神経伝達物質で、危険回避モードを引き起こします。
※アドレナリン・ノルアドレナリンは「怒りのホルモン」とも呼ばれ、ノルアドレナリンは数ミリグラムを腹腔に注射するだけでラットが死んでしまうほど、強い毒性を持っています。
危険回避モードとは自分が危険と感じる状況に遭遇した時生じる動物に本来備わっている反応です。
その際、私達は通常、自分を守るために「闘う」か「逃げる」かのいずれかの反応を起こします。体ほうも当然そのための態勢にはいります。
具体的には、いつでも動き出せるように筋肉に血液が集まり、その分、内臓に血液が回らなくなります。また筋肉に十分な血液を送る必要があるため心臓の動きが活発になり脈拍も速くなり血圧もあがります。
脳や神経もいつでも状況に対処できるように興奮状態を維持します。
痛みが続くのはこの「闘うか逃げるか」モードが常態化しているからです。
内臓の機能が低下し、血圧が高い状態が続き、脳や神経は休まることがない
さて、この状態が続く中、他人を思いやることなど出来るでしょうか?
絶対に無理です。
痛みや嫌な出来事から自分を守るのが精一杯になり他人のことを思いやる精神的な余裕がなくなってくるのが普通です。
そこで、脳の興奮を鎮め慢性腰痛を改善するためには
今までと真逆の方向に脳を使う「利他の行為」が一番の特効薬になります。
そして最も手軽に始められる利他の行為が「祈り」なのです。
アメリカの医学界では「祈り」についての研究が積極的に行われいて、病気が「祈り」によって改善できることを証明しています。
2021年08月04日
利他を指向する脳
愛知県岡崎市にある生理学研究所で行われている研究では「人間が利他の行動によって、恋愛などよりもずっと大きな快感を得ているのではないか」ということが明かにされつつあります。
最新の脳科学の知見でも私達の脳は他者との共生ということを大きく志向していることがわかりました。
この機能を司るのは一般的に社会脳と呼ばれる回路です。
社会脳には自分の行動を逐一観察して「その行動がよいのか悪いのか」を判断し社会性を持った行動をする方向に調整する機能があります。
例えば誰かに対して怒り・妬み・怖れ・不安といったネガティブな感情を持つとそれが社会的には「あまりよくないこと」であるとされているのを自分の脳はわかっていて、「ストレス物質」であるコルチゾールを分泌させ闘うか逃げるか反応に備えます。コルチゾールはストレスによる脳の機能低下や血糖値の低下などを防ぐ生体に必須のホルモンですが、脳内で過剰に分泌されると人間の脳が持つ最重要の機能と言っても過言ではない「記憶」の回路で中心的な役割を果たす海馬という部位が萎縮してしまうことがわかっています。
これとは逆に、ほめられる、他者からよい評価を受けるなどの社会的報酬得ると、金銭的な報酬を得た時などと同様に社会脳の一部分である「線条体(せんじょうたい)」という快感を生み出すのに関わる回路の一部が活性化することがわかりました。
では利他的行動をとるとき、誰かからほめられなければ、大きな快感を得ることが出来ないのでしょうか?実は「他者からの良い評価」は必ずしも必要ないのです。誰かからほめられなくても、社会脳が自分の行動を「すばらしい」と評価することにより、非常に大きな幸福感がもたらされます。
このように私達の脳は他人を利することによって幸福感を得られるように出来ています。
地球の歴史を考えてみると、これまでに、数え切れないほどの生物種が絶滅し続けました。そうした中にあって、人類は共に助け合うことで生き残り現在の繁栄を築いてきました。
人間は「個体」というレベルでみれば非力なものです。逃げ足も遅いですし、ましてやライオンのような猛獣と戦って勝てるような人間はごくごくまれでしょう。ではどうやって生き延びてきたのか?
非力な人間が唯一、他の動物種と比べて発達しているのが脳です。互いに助け合う「利他の行動」で快感を覚える脳、率先して「利他の行動」をとらせる脳。これが人類が生き延びてくるための唯一の武器だったのです。
ごく一部の聖者といわれる人を除き私達は「利他を指向する脳」を「自分を利する」ために使っています。この使い方の間違いが痛みや病気の原因の一つであると私は考えています。
2021年08月01日
腰痛になることのメリット
事前にやっておくべきことの2つ目は腰痛が持続することによって手に入る「心地よいメリット」について知りそこから抜け出す決意をすることです。「心地よいメリット」にハマっているかぎり腰痛はなおりません。
腰痛になることのメリット
「慢性腰痛なることのメリット」と聞くと、「そんなのあるの?!」と思う人が多いでしょう。
だって、腰痛が続くとデメリットや不利益が大きいですから。
•痛くて苦しい
•病院代やお薬代のお金がかかる
•仕事や学校に行けない
•日常生活のさまざまに制限がかかる
など。
話が少しそれますが、遅刻癖のある人っていますよね。待ち合わせによく遅れるとか、
会社や学校に来るのが遅いとか、いわゆる「時間にルーズな人」です。
でも、そんな人でも、楽しみな海外旅行に行くためだったら
空港には搭乗時間に間に合うよう行くわけです。
飛行機は絶対に自分を待ってくれないことが分かっているからです。
これは、遅刻することのデメリットが、メリットより圧倒的に大きいのです。
じゃあ、慢性腰痛になることのメリットはなんでしょう?
これは、健康であることのメリット・デメリットと照らし合わせながら考えるといいです。
あなたが基本的に健康な人だった場合、健康のメリットはいわば空気や水と同じで
普段それほど意識にのぼってきません。
なぜならあなたにとって「あって当たり前」だからです。
※ でも、ここで「健康のメリットは何だろう?」をあえて考えてみるのは大事です。
「当たり前に感謝する」ことが、痛みの改善に貢献します。 ※
では、健康のデメリット、
つまり「あなたが健康だからこそ蒙る(こうむる)不利益」は何でしょうか?
それは、
「あなたが普段、感じている不都合・嫌なこと・嫌な気分にさせられることのすべて」
です。例えば
•仕事をするのが嫌だと思っていても、健康な身体ならば働けと言われます。
•人づきあいが嫌なのに、普段の生活で避けられない人間関係があります。
•相手に強い怒りを感じているのに、それを全力でぶつけるとDVだと言われます。
•家事も育児も放棄したいけれど、行く場所がありません。
などなど。
あなたが健康で日常生活を送っている限り、向き合わなければならないことです。
ただ、これらを「健康のデメリット」と認識しながら生活している人はいないでしょう。
でも、この「感じている不都合・嫌なこと・嫌な気分」が
耐えられないほど強くなってきたとき、
「腰痛のメリット」が相対的に大きくなることがあります。
激しい痛みが続くとどうなるでしょうか?
例えば…
•働かなくて済む
•人づきあいを避けられる
•本音や弱音を言える
•介護や世話をしてもらえる
•やっと睡眠をしっかり取れる
•給付金や保険金がもらえる etc.
このように考えると、
過去にあなたが激しい痛みに襲われたとき、またはその前後では
どんな気分だっただろうか?どんなことを嫌だ、不都合だと思っていただろうか?
を探ることが、あなたの痛みのパターンを知るきっかけになります。
そしてまた、
「腰痛になったことで、その嫌だったこと・不都合だったことを
避ける・拒否する・そこから逃げることができただろうか?」
を自分自身に聞いてみてください。
もし腰痛にならなくても、健康なままでも、それはできたことだったでしょうか?
少しきつく感じるかもしれませんがこれらの問いに答えることにより 慢性腰痛であればこそ手に入る「心地よいメリット」をあぶりだすことが出来ます。「心地よいメリット」がなければいいのですが、自分の力だけで気付くことはかなり難しいです。
この「心地よいメリット」から抜け出さない限り腰痛の改善はみこめないので、腰痛改善プログラム行う前にこれらの質問に答えてみてください。
以上 ブログ:「田中真理子の頭の中と心の中」から転載1部改変
https://marikotanaka.jp/post/shinri/
2021年08月01日
目標の設定
自力で腰痛を改善していくために絶対に欠くことが出来ない2つのことについて説明します。
この2のことを知らないと腰痛は絶対に改善しないので事前に準備しておく必要があります。
1つ目は目標設定です。間違った目標を設定すると痛みがひどくなる場合があるので注意が必要です。
1,目標設定
「なぜ腰痛をなおしたいのですか?」と聞かれたら、あなたはなんと答えますか?
「この痛みから逃れたい」「痛みを気にせず歩けるようになりたい」「またスポーツが出来るようになりたい」
残念ながら、こうした回答にとどまっているかぎりなかなか腰痛は改善しません。
その理由は、こうした回答では、目の前の「腰痛」という問題を回避することだけに集中しているからです。
「とにかく痛みを治したい」「なんとかこの痛みをなくしたい」ただ、それだけに集中してしまっているのです。
この様な「痛みの回避したい」という思いの裏側には必ず不安や恐れというネガティブな感情が隠れています。
そして不安や恐れというネガティブな動機で行動していると痛みを改善するためにやっていることが逆に痛みの回復を遅らせることになります。
何故ならば
●不安や恐れ心配というモチベーションで行動していると、楽しくないし面白くない
●不安や恐れ心配というモチベーションで行動していると、マイナスイメージ、マイナス感情・マイナス思考が強くなる
●不安や恐れ心配というモチベーションでは、勇気がわいてこない
●不安や恐れ心配というモチベーションでは、新しいことにチャレンジできなくなる
●不安や恐れ心配というモチベーションでは、ストレスが大きくなり、幸せの感覚がなくなる
ということが起きる可能性があるからです。
不安や恐怖という動機で痛みを回避しょうとすると、痛みを改善するための新しい試みにチャレンジできなくなったり、痛みの改善効果がるワークやストレッチがあっても「楽しくないし面白くない」から続かず途中で嫌になります。
そればかりではなく、痛みに対する恐怖心がますます強まり、痛みがひどくなることもあるのです。
ダイエットに失敗したり、病気にならないように常に食事に気を付けたり、適度に体を動かすことを心掛けて体操やストレッチ、散歩などを日常的にしていた人が、病気になり早死にするのも「不安や恐れ」が動機になっているからです。
それではどうしたらいいのか?少し長くなりますが聞いてください。
痛みは本当の自分からズレていることへのメッセージです。
各自が本来持って生まれてきた生きる目的に沿った生き方をしてないことを教えてくれているのです。そのメッセージの意味に気付き生きる目的に向かって生きはじめたとき痛みは消滅します。
「なぜ腰痛をなおしたいのですか?」という問いに対して「これをやるために腰痛をなおしたい」の「これ」が明確にならない限り、痛みはなかなか消えません。
なぜなら、この先、何をやり、どうしたいのかが明確になっていなければ、脳がどういう体をつくっていけばいいのかわからないからです。
たとえてみれば、タクシーに乗ったのに、行き先を告げないようなものです。
これでは街中の道に精通したドライバーでも、走りようがありません。
これとは逆にやることが明確で、それが生きる目的に沿っている場合、脳はそれを実現するためにうごきだします。脳には、もともとそうした機能が備わっているのです。
アメリカのある大学での脳科学の実験で、こういう事例がありました。
被験者に「去年の誕生日は何をしていましたか?」と質問すると体の運動神経を司る部位は動きませんであいた。しかし、「今年の誕生日はどうしたいですか?」と質問すると、体の運動神経をつかさどる脳の部位が活発に動きはじめたのです。つまり、過去に焦点が合っていると体の運動神経などはつくられていかないのですが、未来の欲しい価値に焦点が合っていると、体の運動神経を司る脳の部位が活発に動きはじめ、それを手にするための体がつくられはじめるのです。だから「これをやるために腰痛をなおしたい」これを明確にする必要があるのです。
それにはまず「本当は自分は何をしたいのか」という問題意識を常に持つ必要があります。
この問題はそう簡単に解けるものではありません。そもそも、この答がわかるのであれば痛みに苦しんではいないと思います。あせる必要はありません。時間をかけて探しましょう。ここでは問題の回避から行動しないことを知っていただければOKです。
なかには、やりたいことが、いくら考えても全く思い浮かばないという人もいるかもしれません。
そんな時は子供のころの記憶をたどってみましょう。
小さい頃というのは、今より経験や知識が少なくて、怖いものが少ないんです。
お金のことも考えてない(考える知識がない)ですし、社会で通っている常識もあまり知らないので自分の許容枠が広い!
世界が狭いので、世間体も気にしません。
その小さな頃の自分が「あなたのしたいこと」を教えてくれることがあります。
とりあえず、私のしたいことって「なに?」という疑問を忘れて振り返ってみましょう。
【質問1】小さいころ、大好きだったことは何でしたか?
ヒーローやヒロイン、キャラクター、お友達、習い事、スポーツの練習。
公園、大きな木、雨の日、運動会、ママの読んでくれる絵本。
それが何?と思われるかもしれません。
答えが出てきたら、どうして、それが好きだったか、まで考えてみましょう。
【質問2】子供時代のあなたはどんな子でしたか?
家族、お友達、先生からどんな子って言われていましたか?
周りの人の言う、あなたについての「○○な子」をどんな気持ちで受け止めていましたか?
そして、忘れてはいけない「自分は自分のことをどんな子だと思っていたか」ということ。
○○ができない、○○をしない、○○の癖があるなど、直しなさいと言われ続けたことを、そのまま自分は○○な子にあてはめている人が多いみたいです。
表裏一体、紙一重ですからマイナス要素が「やりたいこと」を見つける材料になる可能性もなくはないでしょう。
でも、せっかくですから、ポジティブな面も思い出してみましょう。
•どんな場面での自分が一番好きでしたか?
•嬉しかったことってどんなことだったでしょうか?
•お友達にありがとうって言われたのはどんなことでしたか?
•戻れるとしたら、何をしていたときの自分に戻りたいですか?
•いつの間にか数時間が経った感覚のあった日、何をしていたのですか?
•それをしている最中に、次はいつかな、次も楽しみって思った経験はありますか?
•純粋に夢中になっていたこと、思い出せますか?
やりたいことがないのではありません。それを自分の奥深くにしまい込み過ぎて自分でもわからなくなっているだけです。
どうしても思い出せない場合は以下の質問に答えてみましょう!
「あなたにとって本当に素晴らしい人生とはどういうものですか?」
これをテーマに3~5つの文章をかいてみましょう。その際、次の規則を守って下さい。
否定形を使わず、ひたすらポジティブに、現在形で、具体的に、そして自力で到達できること
書いた文章の中から一番しっくりするものを1つ選び毎日5分~10分イメージしてみましょう。
また発作的に激しい痛みが再発した時、痛みにとらわれずにこのイメージに集中すると、高い確率で痛みが引いてきます。
2021年07月28日
痛みの原因は脳
痛みの原因は脳
2011年、カナダ・マギル大学の研究チームが衝撃の研究成果を発表
半年以上腰痛に悩む患者18名の体を徹底的に調べた結果「脳の特定箇所:DLPFC(背外側前頭前野)」に共通の異変が起きているのがわかりました。
慢性腰痛の人はDLPFCの体積が健康な人比べて極端に減り、活動が衰えていたのです。
慢性腰痛とDLPFCの関係(扁桃体とDLPFC)
痛みの回路を電気回路に例える
例えば足の怪我の「痛みの回路」とその動作を考えれば、次のようになります。まず怪我をしたことにより、傷口が「痛みの発生部」になります。最初にその刺激を受け取るのは末梢神経の先端にある侵害受容器といわれるセンサーです。センサーに検出された「痛み」は「配線」である知覚神経や脊髄、中枢神経を通じて脳に送られ、脳が「痛み」を判断して「痛い」と感じます。つまり「痛み」は脳で判断されるまでは「痛くはない」のです。
「痛み」は脳のどこに送られるのかというと「扁桃体(へんとうたい)」です。
この扁桃体に痛み情報が送られると扁桃体が興奮します。この扁桃体の興奮がいつまでも続くのが慢性痛の正体です。
ところで、
そもそも痛みとは何でしょうか?
世界中の痛みの研究者や専門家が集う国際疼痛学会(こくさいとうつうがっかい)は,2019年に,新たな「痛みの定義」を発表しました.その定義とは
「実際の組織損傷もしくは組織損傷が起こりうる状態に付随する,あるいはそれに似た、感覚かつ情動の不快な体験」(日本疼痛学会訳)というものです。
この定義、簡単にいうとこうなります。
「痛みとは体の組織が何らかの原因で傷ついたり、病的な異常があるとき感じる不快な感覚、あるいはこうした傷や病的な異常がなくても生じるもの」
この定義により
体に異常がないのに起こる痛みがあることを国際疼痛学会が認めたことになります。
この様な痛みの場合「脳」が深くかかわっています。
心と痛みの関係(扁桃体の2つの機能)
これについては2021年3月18日に東京慈恵会医科大学よって発表された
「 こころや脳の働きが全身にひろがる痛みを生み出す仕組みを解明」
というレポートが参考になります
このレポートの要点を超簡略化すると(以下論文より一部抜粋)
「炎症や障害のないマウスの右脳の扁桃体中心核の ニューロンを興奮させた結果、左右両足に痛覚過敏が生じることがわ かりました.この変化は,人工的な興奮を繰り返すたびに生じました.また,左の扁桃体中心核ニューロンの興奮では生じませんでした.このことから,同グループは,「右扁桃体中心核のニューロンの活動が,身体の広い範囲の痛みの感度を調整している」と結論付けました.これらの結果は,傷害や炎症に加え,ストレスや不安などの扁桃体中心核の活動を変 化させる身体やこころの状態が,身体の広い範囲に「痛み」を生じさせたり,強く感じさせ たり,また,弱めたりする可能性を示しています」
詳しくはhttp://www.jikei.ac.jp/news/pdf/press_release_20210316.pdf
をご覧下さい。
上記の赤字の部分を詳しく解説するとこうなります。
扁桃体には2つの機能があります。
まず1つ目は、上記の研究により扁明らかになった、痛みの発現
そして2つ目は不安、悲しみ、自己嫌悪、恐怖、怒り(怒りは恐怖が反転した感情)などの負の感情を司る
ということは
「体の痛み」も「心の痛み」も感じるのは同じ扁桃体ということになります。
この扁桃体の特徴から下記の等式が導かれます。
体の痛み=心の痛み(不安、悲しみ、自己嫌悪、恐怖、怒りなどの負の感情)
そしてこの等式を言い換えると
慢性痛は心の病気
となります。
上記の論文にも次のように記されています。
扁桃体は,ストレス・不安・恐怖、怒りなどの心理状態によって引き起こされるさまざまな身体 の応答に関与しています.扁桃体中心核の活動が全身の痛覚過敏をひきおこすことを示した今回の発見は,心理的・社会的な要因が引き金となって身体のさまざまな部位に痛みが 生じるメカニズムを明らかにしたものと考えられます.・・・以下省略
体の痛みを感じるのは脳であり、脳の認識が心です。脳と体は相互に影響を及ぼし合っているので脳が関係しない痛みはありません。慢性痛は体の痛みであると同時に痛みを学習してしまった脳の認識の病気なのです。いかに脳の認識を痛みから遠ざけ、痛みに執着せず忘れられるか、それが慢性痛を克服するためのポイントになります。
痛みの第一現場と第二現場
痛みやしびれは第一現場(痛みやしびれが起きている箇所)と第二現場(脳)との情報のやり取りです。
急性痛の場合は第一現場への介入で治ってしまうことが多いのですが
情報のやり取りが続いて慢性痛になると脳に痛み情報の記憶(可塑的変化:かそてきへんか)が起こり第一現場だけの介入だけではおさまらなくなることもあります。第二現場(脳=心)への介入が必要になります。
話は長くなりましたがこの扁桃体の興奮を鎮めるのがDLPFCの役割なのです。
繰り返しになりますが慢性痛腰痛の苦しむ人々の全てにおいて、
このDLPFCの活動が衰えていることが発見されたのです。
DLPFCを衰退させる原因
DLPFCを衰退させる原因は2つあります。
1つ目は激しい痛みに対する強い恐怖心です。
だれでも激烈な痛みを何回も経験すると二度とこんな痛み経験したくないと痛みを伴う行動を避けるようになります。特に腰を曲げる動作に対して恐怖心を抱くようになり、特に立ったり、座ったりする動作に気をつけるようになります。
この様に「痛みに対する恐怖に心が縛られた状態」が長期間続くとDLPFCが働き過ぎ状態になって疲労してきて、痛みが長期期間持続します。
2つ目は日常生活の不安や恐怖、怒りです。
例えば、職場や家庭の人間関係の不安や怒り、将来や老後に対する不安や怒り、経済的な不安や怒りなど
これらの感情が長期間続くことで扁桃体が興奮を続けDLPFCを衰退させます。
ここで注目すべき事実があります。
1つ目の「痛みに対する恐怖に心が縛られた状態」と2つ目の日常生活の不安や怒りを生み出している共通の原因があるのです。
それは、過去のトラウマやネガティブな感情を伴う経験(抑圧され潜在意識の中に封印されたものを含む)
がきっかけでつくられた思い込みや自己イメージです。
たとえば
「人生は思い通りにならない」と思い込んでいれば、物事がうまくいきそうになると「人生が思い通りになるはずがない」とう意識にうまくいかなくなるような行動を取ったりします。その結果「人生は思い通りにならない」と感じる出来事にばかり遭遇している気がして、それを「事実」だと信じ込むようになっていきます。
また、「私は孤独」というセルフイメージがあれば、無意識のうちに孤独になるような行動をします。
「私は孤独なのだから、好きな人が私の前からいなくなるようにしなきゃ!まわりの友達ともケンカ別れをして、孤独にならなきゃ!」といった感じです。
成功哲学の著作で知られるナポレオン・ヒルの名著に「思考は現実化する」がありますが、まさにそれは事実なのです。
(仮説)原因がわからないギックリ腰がおきる理由
急性痛の代表格と言えるのがギックリ腰です。
急性痛の定義は「体に何らか異常があって生じる突発的な痛みであり発症からの期間が4週間未満」となっています。
この定義によるとギックリ腰にも何らかの体の損傷がなければならないのですが、画像検査をしても「異状なし」の場合が多々あります。
何故でしょう?
下記は私見です。
日常的に感じている不安や怒りを刺激する強いストレスがギックリ腰を発症する「少し前」にあった。これが原因で扁桃体が興奮し痛みが発症したのではないか?
なぜ「少し前」なのかというと
ストレス真っ最中の時には痛みを感じることはありません。
痛みを感じるのはストレスがひと段落して「ほっと」した時だからです。
日常的な不安や怒りでDLPFCの働きが弱くなっていますがまだこの段階では正常を保っています。
しかしそこへいつもより強いストレスが突然やって来ました。これにたして、いきなり仕事量が増えたDLPFCはストレスが通り過ぎるまで普段以上の力を出し続け何とか扁桃体の興奮をしずめます。そして、ストレスが過ぎ去った後「運動不足の中高年がいきなり激しい運動をした」」のと同じことがDLPFCにおきるのです。
その結果、疲労してキャパオーバーとなったDLPFCが扁桃体の興奮を鎮めることが出来なくなってギックリ腰になったのでは?
何日かして何もなければDLPFCの疲労が回復し痛みは治まります。
しかし、引き金となった強烈なストレスが長期間持続すると、ちょうど「突然ブレーカーが落ちて停電する」ようにDLPFCがダウンして痛みが発症します。
一度発症した痛みはストレス状況が過ぎ去るまで持続します。
この持続する痛みに対する恐怖に心がとらわれると、慢性化する危険が増大してくるのだと私は考えます。
痛み以外の症状
扁桃体の興奮は交感神経を刺激して戦うか逃げるか反応を起こします。
これは無意識に起きる、不安や怒りの原因となる嫌な出来事を叩きのめすか回避するのかの反応です。
現代社会では戦うことも逃げること出来ませんが、体は「危険」が回避できるまで戦うか逃げるか反応を続けます。
戦うか逃げるか反応とは体のどの様な反応かというと次のような感じになります。
眼は爛爛と光り(瞳孔が開く)、総毛立ち(皮膚の変化)、呼吸は浅く速くなり(酸素をたくさん取り込めるように)、心臓は早鐘のように打ち(動悸)、多くの血管は収縮して(血圧が上がり)、筋肉へは優先的に血液が供給されて緊張が高まり、いつでも瞬発的に動けるようにスタンバイする状態となります。動物では「手に汗を握る」とは言わないかもしれませんが、手足や脇、額などからの部分的な発汗も交感神経が刺激されたときの反応です。
また、そのような緊急事態にゆっくり食事や排泄なんてしている暇はなく、消化管の運動は抑えられています。
この様な状態が続いたらどうなるでしょうか?
1常にスタンバイ状態で体が緊張し続けているので睡眠はとれません。
2リラックスできないので、いつも心が張り詰めた状態で、わけもなくイライラしたり急に落ち込んだりします。3睡眠がとれず、リラック出来ないので常に疲れています。
4血圧は高目
5消化管の運動が抑えられるので、腸や胃の調子が良くなかったりします。
6必要以上に瞳孔が開くので目が疲れやすく「しょぼしょぼ」していたりします。
痛みの他にもこの様な症状がでる可能性もあるのです。
脳の動かし方を変える
今まで見てきたように慢性腰痛の原因は恐怖や怒りです。
長期間、日常的にこれらの恐怖や不安、怒りを、感じているため脳の神経ネットワークがネガティブなパーターンに固定化され、脳の血流が極端に低下しています。
この状態から神経ネットワークを通常の状態に戻して慢性腰痛を改善するためには
「脳の動かし方」をポジティブの方向へシフトさせなければなりません。
最初にやらなければならないことは痛みに対する考え方を変えることです。
ポイントとなるのは
「痛みと戦わない」ということ。
慢性腰痛に苦しむあなたの自律神経は「戦うか逃げるか反応」反応の真最中です。
そこに「腰痛と戦う」を持ち込んだら「火に油を注ぐ」ことになり逆効果になります。
それではどうするのか?
痛みを相手にしない。あるいは無視する。
もっと言うと治そうとしない。
痛みを治そうとすること=痛みにこだわること
痛みにこだわればこだわるほど痛みをこじらせてしまうので、
痛みに執着しない日常生活を送るように心がけることが必要となります。
具体的には
1、「痛み行動」をやめるよう心掛ける
「イタッ」という発音や、つらそうにしかめっ面をする、痛む腰に手を当てるなど、痛みの存在を他者に伝える全ての行動を「痛み行動」といいます。
2,「痛みを避ける」ために行っていたことを徐々にやめる。
例えば、走らない、長時間歩かない、ジャンプしない、急に動かない、重たい物は持たないなど
3、痛みがきても知らん顔して無心になり、夢中になれる趣味のことや楽しかった旅行のことなど他のことを考える、他のことに集中する。
などがあげられます。
※そうは言っても「直ちに通院や服薬をやめろ」と言っているわけではありません。必要なものは続けて下さい
このような訓練をしていけば痛みは楽にはなりますが、なくなりはしません
痛みの根本原因である思い込みや誤った自己イメージがそのままだからです。
痛みを完璧に撲滅するには
実際には存在しない思い込みや誤ったセルフイメージなどに気付くことで脳の動かし方と言葉を変えていかなければならないのです。
それにはなぜそんなに不満や心配を抱いているのか、本当の自分はどうしたいのか、どう感じているのかと、本当の自分を探り、知る必要があります。
これまで積み重ねてきた葛藤や我慢であったり、「こうでなければならない」と凝り固まった考え方や、つい不満を抱えてしまう思考回路、ネガティブな経験によって生まれた不安など、人によってそれぞれ抱えているものは違いますが、これらによって、扁桃体は興奮を続け慢性化した痛みやその他の精神的、肉体的な病気を引き起こすのです。
私は二度と痛まない体になるために本当の自分の声を聞き、自分自身を知ることを、おすすめします。
私たちは慢性化した痛みや病気になることをきっかけとして、本当の自分に気づくチャンスにすることができ ます。もちろん、病院では検査などで肉体に起こったことも把握することは 必要ですが、なぜその症状を発症 するに至ったのかと、自分の内なる声を受け取り、自分に向き合うことのほうが大切です。さかのぼってみると、必ず考え方のクセや感情の詰まりにぶつかるからです。
痛みを含めた慢性病になるということは、「自分らしく 生きたい」「心から幸せで満たされたい」という潜在的な 願望と、思うような生き方ができていない現実との間 にあるズレを体が表現してくれているということなのです。
脳を変えることが出来るのは「あなた」だけ
当然のことながら
「あなたの思考回路を再構築できるのはあなただけです。」
今までのように「だれか(医師)に治してもらう」という受け身のスタンスでは何も変わりません。
痛みの改善は自分の意志によるものであり、他人に何とかしてくれという考えは捨てなければならないのです。
2011年、カナダ・マギル大学の研究チームが衝撃の研究成果を発表
半年以上腰痛に悩む患者18名の体を徹底的に調べた結果「脳の特定箇所:DLPFC(背外側前頭前野)」に共通の異変が起きているのがわかりました。
慢性腰痛の人はDLPFCの体積が健康な人比べて極端に減り、活動が衰えていたのです。
慢性腰痛とDLPFCの関係(扁桃体とDLPFC)
痛みの回路を電気回路に例える
例えば足の怪我の「痛みの回路」とその動作を考えれば、次のようになります。まず怪我をしたことにより、傷口が「痛みの発生部」になります。最初にその刺激を受け取るのは末梢神経の先端にある侵害受容器といわれるセンサーです。センサーに検出された「痛み」は「配線」である知覚神経や脊髄、中枢神経を通じて脳に送られ、脳が「痛み」を判断して「痛い」と感じます。つまり「痛み」は脳で判断されるまでは「痛くはない」のです。
「痛み」は脳のどこに送られるのかというと「扁桃体(へんとうたい)」です。
この扁桃体に痛み情報が送られると扁桃体が興奮します。この扁桃体の興奮がいつまでも続くのが慢性痛の正体です。
ところで、
そもそも痛みとは何でしょうか?
世界中の痛みの研究者や専門家が集う国際疼痛学会(こくさいとうつうがっかい)は,2019年に,新たな「痛みの定義」を発表しました.その定義とは
「実際の組織損傷もしくは組織損傷が起こりうる状態に付随する,あるいはそれに似た、感覚かつ情動の不快な体験」(日本疼痛学会訳)というものです。
この定義、簡単にいうとこうなります。
「痛みとは体の組織が何らかの原因で傷ついたり、病的な異常があるとき感じる不快な感覚、あるいはこうした傷や病的な異常がなくても生じるもの」
この定義により
体に異常がないのに起こる痛みがあることを国際疼痛学会が認めたことになります。
この様な痛みの場合「脳」が深くかかわっています。
心と痛みの関係(扁桃体の2つの機能)
これについては2021年3月18日に東京慈恵会医科大学よって発表された
「 こころや脳の働きが全身にひろがる痛みを生み出す仕組みを解明」
というレポートが参考になります
このレポートの要点を超簡略化すると(以下論文より一部抜粋)
「炎症や障害のないマウスの右脳の扁桃体中心核の ニューロンを興奮させた結果、左右両足に痛覚過敏が生じることがわ かりました.この変化は,人工的な興奮を繰り返すたびに生じました.また,左の扁桃体中心核ニューロンの興奮では生じませんでした.このことから,同グループは,「右扁桃体中心核のニューロンの活動が,身体の広い範囲の痛みの感度を調整している」と結論付けました.これらの結果は,傷害や炎症に加え,ストレスや不安などの扁桃体中心核の活動を変 化させる身体やこころの状態が,身体の広い範囲に「痛み」を生じさせたり,強く感じさせ たり,また,弱めたりする可能性を示しています」
詳しくはhttp://www.jikei.ac.jp/news/pdf/press_release_20210316.pdf
をご覧下さい。
上記の赤字の部分を詳しく解説するとこうなります。
扁桃体には2つの機能があります。
まず1つ目は、上記の研究により扁明らかになった、痛みの発現
そして2つ目は不安、悲しみ、自己嫌悪、恐怖、怒り(怒りは恐怖が反転した感情)などの負の感情を司る
ということは
「体の痛み」も「心の痛み」も感じるのは同じ扁桃体ということになります。
この扁桃体の特徴から下記の等式が導かれます。
体の痛み=心の痛み(不安、悲しみ、自己嫌悪、恐怖、怒りなどの負の感情)
そしてこの等式を言い換えると
慢性痛は心の病気
となります。
上記の論文にも次のように記されています。
扁桃体は,ストレス・不安・恐怖、怒りなどの心理状態によって引き起こされるさまざまな身体 の応答に関与しています.扁桃体中心核の活動が全身の痛覚過敏をひきおこすことを示した今回の発見は,心理的・社会的な要因が引き金となって身体のさまざまな部位に痛みが 生じるメカニズムを明らかにしたものと考えられます.・・・以下省略
体の痛みを感じるのは脳であり、脳の認識が心です。脳と体は相互に影響を及ぼし合っているので脳が関係しない痛みはありません。慢性痛は体の痛みであると同時に痛みを学習してしまった脳の認識の病気なのです。いかに脳の認識を痛みから遠ざけ、痛みに執着せず忘れられるか、それが慢性痛を克服するためのポイントになります。
痛みの第一現場と第二現場
痛みやしびれは第一現場(痛みやしびれが起きている箇所)と第二現場(脳)との情報のやり取りです。
急性痛の場合は第一現場への介入で治ってしまうことが多いのですが
情報のやり取りが続いて慢性痛になると脳に痛み情報の記憶(可塑的変化:かそてきへんか)が起こり第一現場だけの介入だけではおさまらなくなることもあります。第二現場(脳=心)への介入が必要になります。
話は長くなりましたがこの扁桃体の興奮を鎮めるのがDLPFCの役割なのです。
繰り返しになりますが慢性痛腰痛の苦しむ人々の全てにおいて、
このDLPFCの活動が衰えていることが発見されたのです。
DLPFCを衰退させる原因
DLPFCを衰退させる原因は2つあります。
1つ目は激しい痛みに対する強い恐怖心です。
だれでも激烈な痛みを何回も経験すると二度とこんな痛み経験したくないと痛みを伴う行動を避けるようになります。特に腰を曲げる動作に対して恐怖心を抱くようになり、特に立ったり、座ったりする動作に気をつけるようになります。
この様に「痛みに対する恐怖に心が縛られた状態」が長期間続くとDLPFCが働き過ぎ状態になって疲労してきて、痛みが長期期間持続します。
2つ目は日常生活の不安や恐怖、怒りです。
例えば、職場や家庭の人間関係の不安や怒り、将来や老後に対する不安や怒り、経済的な不安や怒りなど
これらの感情が長期間続くことで扁桃体が興奮を続けDLPFCを衰退させます。
ここで注目すべき事実があります。
1つ目の「痛みに対する恐怖に心が縛られた状態」と2つ目の日常生活の不安や怒りを生み出している共通の原因があるのです。
それは、過去のトラウマやネガティブな感情を伴う経験(抑圧され潜在意識の中に封印されたものを含む)
がきっかけでつくられた思い込みや自己イメージです。
たとえば
「人生は思い通りにならない」と思い込んでいれば、物事がうまくいきそうになると「人生が思い通りになるはずがない」とう意識にうまくいかなくなるような行動を取ったりします。その結果「人生は思い通りにならない」と感じる出来事にばかり遭遇している気がして、それを「事実」だと信じ込むようになっていきます。
また、「私は孤独」というセルフイメージがあれば、無意識のうちに孤独になるような行動をします。
「私は孤独なのだから、好きな人が私の前からいなくなるようにしなきゃ!まわりの友達ともケンカ別れをして、孤独にならなきゃ!」といった感じです。
成功哲学の著作で知られるナポレオン・ヒルの名著に「思考は現実化する」がありますが、まさにそれは事実なのです。
(仮説)原因がわからないギックリ腰がおきる理由
急性痛の代表格と言えるのがギックリ腰です。
急性痛の定義は「体に何らか異常があって生じる突発的な痛みであり発症からの期間が4週間未満」となっています。
この定義によるとギックリ腰にも何らかの体の損傷がなければならないのですが、画像検査をしても「異状なし」の場合が多々あります。
何故でしょう?
下記は私見です。
日常的に感じている不安や怒りを刺激する強いストレスがギックリ腰を発症する「少し前」にあった。これが原因で扁桃体が興奮し痛みが発症したのではないか?
なぜ「少し前」なのかというと
ストレス真っ最中の時には痛みを感じることはありません。
痛みを感じるのはストレスがひと段落して「ほっと」した時だからです。
日常的な不安や怒りでDLPFCの働きが弱くなっていますがまだこの段階では正常を保っています。
しかしそこへいつもより強いストレスが突然やって来ました。これにたして、いきなり仕事量が増えたDLPFCはストレスが通り過ぎるまで普段以上の力を出し続け何とか扁桃体の興奮をしずめます。そして、ストレスが過ぎ去った後「運動不足の中高年がいきなり激しい運動をした」」のと同じことがDLPFCにおきるのです。
その結果、疲労してキャパオーバーとなったDLPFCが扁桃体の興奮を鎮めることが出来なくなってギックリ腰になったのでは?
何日かして何もなければDLPFCの疲労が回復し痛みは治まります。
しかし、引き金となった強烈なストレスが長期間持続すると、ちょうど「突然ブレーカーが落ちて停電する」ようにDLPFCがダウンして痛みが発症します。
一度発症した痛みはストレス状況が過ぎ去るまで持続します。
この持続する痛みに対する恐怖に心がとらわれると、慢性化する危険が増大してくるのだと私は考えます。
痛み以外の症状
扁桃体の興奮は交感神経を刺激して戦うか逃げるか反応を起こします。
これは無意識に起きる、不安や怒りの原因となる嫌な出来事を叩きのめすか回避するのかの反応です。
現代社会では戦うことも逃げること出来ませんが、体は「危険」が回避できるまで戦うか逃げるか反応を続けます。
戦うか逃げるか反応とは体のどの様な反応かというと次のような感じになります。
眼は爛爛と光り(瞳孔が開く)、総毛立ち(皮膚の変化)、呼吸は浅く速くなり(酸素をたくさん取り込めるように)、心臓は早鐘のように打ち(動悸)、多くの血管は収縮して(血圧が上がり)、筋肉へは優先的に血液が供給されて緊張が高まり、いつでも瞬発的に動けるようにスタンバイする状態となります。動物では「手に汗を握る」とは言わないかもしれませんが、手足や脇、額などからの部分的な発汗も交感神経が刺激されたときの反応です。
また、そのような緊急事態にゆっくり食事や排泄なんてしている暇はなく、消化管の運動は抑えられています。
この様な状態が続いたらどうなるでしょうか?
1常にスタンバイ状態で体が緊張し続けているので睡眠はとれません。
2リラックスできないので、いつも心が張り詰めた状態で、わけもなくイライラしたり急に落ち込んだりします。3睡眠がとれず、リラック出来ないので常に疲れています。
4血圧は高目
5消化管の運動が抑えられるので、腸や胃の調子が良くなかったりします。
6必要以上に瞳孔が開くので目が疲れやすく「しょぼしょぼ」していたりします。
痛みの他にもこの様な症状がでる可能性もあるのです。
脳の動かし方を変える
今まで見てきたように慢性腰痛の原因は恐怖や怒りです。
長期間、日常的にこれらの恐怖や不安、怒りを、感じているため脳の神経ネットワークがネガティブなパーターンに固定化され、脳の血流が極端に低下しています。
この状態から神経ネットワークを通常の状態に戻して慢性腰痛を改善するためには
「脳の動かし方」をポジティブの方向へシフトさせなければなりません。
最初にやらなければならないことは痛みに対する考え方を変えることです。
ポイントとなるのは
「痛みと戦わない」ということ。
慢性腰痛に苦しむあなたの自律神経は「戦うか逃げるか反応」反応の真最中です。
そこに「腰痛と戦う」を持ち込んだら「火に油を注ぐ」ことになり逆効果になります。
それではどうするのか?
痛みを相手にしない。あるいは無視する。
もっと言うと治そうとしない。
痛みを治そうとすること=痛みにこだわること
痛みにこだわればこだわるほど痛みをこじらせてしまうので、
痛みに執着しない日常生活を送るように心がけることが必要となります。
具体的には
1、「痛み行動」をやめるよう心掛ける
「イタッ」という発音や、つらそうにしかめっ面をする、痛む腰に手を当てるなど、痛みの存在を他者に伝える全ての行動を「痛み行動」といいます。
2,「痛みを避ける」ために行っていたことを徐々にやめる。
例えば、走らない、長時間歩かない、ジャンプしない、急に動かない、重たい物は持たないなど
3、痛みがきても知らん顔して無心になり、夢中になれる趣味のことや楽しかった旅行のことなど他のことを考える、他のことに集中する。
などがあげられます。
※そうは言っても「直ちに通院や服薬をやめろ」と言っているわけではありません。必要なものは続けて下さい
このような訓練をしていけば痛みは楽にはなりますが、なくなりはしません
痛みの根本原因である思い込みや誤った自己イメージがそのままだからです。
痛みを完璧に撲滅するには
実際には存在しない思い込みや誤ったセルフイメージなどに気付くことで脳の動かし方と言葉を変えていかなければならないのです。
それにはなぜそんなに不満や心配を抱いているのか、本当の自分はどうしたいのか、どう感じているのかと、本当の自分を探り、知る必要があります。
これまで積み重ねてきた葛藤や我慢であったり、「こうでなければならない」と凝り固まった考え方や、つい不満を抱えてしまう思考回路、ネガティブな経験によって生まれた不安など、人によってそれぞれ抱えているものは違いますが、これらによって、扁桃体は興奮を続け慢性化した痛みやその他の精神的、肉体的な病気を引き起こすのです。
私は二度と痛まない体になるために本当の自分の声を聞き、自分自身を知ることを、おすすめします。
私たちは慢性化した痛みや病気になることをきっかけとして、本当の自分に気づくチャンスにすることができ ます。もちろん、病院では検査などで肉体に起こったことも把握することは 必要ですが、なぜその症状を発症 するに至ったのかと、自分の内なる声を受け取り、自分に向き合うことのほうが大切です。さかのぼってみると、必ず考え方のクセや感情の詰まりにぶつかるからです。
痛みを含めた慢性病になるということは、「自分らしく 生きたい」「心から幸せで満たされたい」という潜在的な 願望と、思うような生き方ができていない現実との間 にあるズレを体が表現してくれているということなのです。
脳を変えることが出来るのは「あなた」だけ
当然のことながら
「あなたの思考回路を再構築できるのはあなただけです。」
今までのように「だれか(医師)に治してもらう」という受け身のスタンスでは何も変わりません。
痛みの改善は自分の意志によるものであり、他人に何とかしてくれという考えは捨てなければならないのです。
2021年07月27日
不思議な腰痛
腰痛には実に不可解な、そして医学的にも説明不可能な部分があります。
例えば・・・
•上部腰椎に変形があるのに痛みは下部腰椎付近にあったり、
•右側にヘルニアがあるのに左坐骨神経痛があったり、
•ほんのわずかな変形でも動けないほどの激痛に苦しむ患者がいる
•見るも無残な変形がありながら軽い症状ですんでいる人
•何かに神経が圧迫されて坐骨神経痛が起きているはずなのに、その何かがどこを探しても見つからない人や、画像検査では異常はみ
つからないのに長期間腰痛に苦しんでいる人がる。
•それとは逆に変形やヘルニアが大きいにもかかわらず、軽い坐骨神経痛しか訴えない患者
•検査でみつかった病変に変化がない(例えばヘルニアの手術をしていないのに)、治ってしまう患者がいる。逆に、手術をしたのに痛み が続く
何故???どうして????不思議です
医師たちはこれらの謎に長年挑戦してきました。
そしてたどりついたのが
「もしかして、認めたくはないが痛みとヘルニア(背骨の変形)は関係がないのかも・・・???」
「だってそうとしか考えられない。検査をしても異常が見つからなかったり、手術は完璧に成功しても痛みが残ったりというのはそういうことじゃない????」
それじゃあ・・・痛みのない人ってどうなの???
ということになり
整形外科以外を受診していて痛みのない人に対して
画像検査を行いました。
その結果
何と・・・
「背骨の間が狭くなっている」「椎間板がつぶれている」「椎間板ヘルニア」は痛みのない健常者にもあることが確認されました。
※「椎間板ヘルニア」の場合、何の痛みも訴えていない健常な人の腰のMRIを撮って調べると、5歳で15%、30歳で30%、60歳で60%の人にヘルニアが見つかるというデータがあります。
このような研究が数十年も繰り返えされ
「腰痛の85%は原因が特定できない(わからない)」
となったのです。
当たり前のことですが、
「原因がわからないということは、治し方もわからない」
ということになります。
実際に「医学界は腰痛治療から撤退すべき」という議論も真剣になされました。
しかし、多くの腰痛患者を見捨てるわけにもいかないので
医師たちはあきらめず腰痛の真犯人を捜しもとめました。
腰痛で苦しんでいる人達には必ず共通の病変(病気による生体の変化)がある。
この信念もと、腰痛患者達の全身のMRI画像をくまなく調べ、比較を続けました。
その結果、やっと脳の特定箇所に共通の病変が見つかりました。