2021年10月29日

背骨の変形は痛みの原因ではないことを証明する証拠

地球

背骨の変形と腰痛とはなんら関係がないことが半世紀以上前から繰り返し証明されています。

1953年に発表されたアメリカのスプリットホフによる対象試験によると
腰痛患者100名と健常者100名の腰部エックス線写真を比較したところ、
両群間の変形性脊椎症の検出率にちがいはなかったと報告しています。

1985年に発表されたデンマークのビーリング・ソレンセンらの研究によれば
60歳の一般住民666名を対象に胸椎(きょうつい)と腰椎(ようつい)のエックス線写真を分析したところ、
過去10年以内に腰痛を経験したことのある358名で58.7%に腰痛のない308名で57.5%に変形性脊椎症がみつかり両群の間に検出率の差が認められなかったことが判明しました。


椎間板は背骨と背骨の間にある、自動車で例えるならショックアブソーバー(衝撃緩衝装置)の役割をはたしています。

医師は患者のエックス線写真をみながら、「背骨の間が狭くなっている」とか「椎間板がつぶれてる」と説明する場合があります。
これは腰椎椎間板症、椎間板変性と呼ばれる状態でCTスキャンやMRIを使って、より正確に椎間板変性を確認できるようにまりました。

この椎間板変性が腰痛の原因だという考え方がありますが、実は椎間板変性と腰痛とは何の関係もありません。

2002年に発表されたスイスのエルフェリングらの研究によれば
腰痛のない健常者41名を対象に、腰部椎間板をMRIで繰り返し撮影し、5年間にわたって追跡調査をしたところ、
全体の41パーセントに椎間板変性の発症または進行が見られたものの、その原因は

「重いものを持ち上げる」「重いものを運ぶ」「体をひねる」「体を曲げる」といった危険因子とは関係がないと関係ないことがわかりました。

それに加え腰痛発症率はむしろ椎間板変性のあるほうが低いことが確認されました。

この結果を受けエルフェリングらは腰痛と椎間板変性との間に関連性がないと結論付けています

また1995年にはカナダのバッティらの研究チームにより男性の一卵性双生児115組を対象に、詳細なアンケートとMRIを使って椎間板変性を促進させる危険因子を調査した結果が発表されました。

これによると椎間板変性は仕事やレジャーにおける身体的負担、車の運転、喫煙習慣よりも遺伝的因子の影響を強く受けていることが判明しました。

要するに椎間板変性の発症はこれまで信じられてきた「重いものを持つ」「仕事などの身体的負担」などの物理的な要因とは無関係であり、腰痛とも無関係であるということが証明されたのです。



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